小欧视频


ホーム > 碍础闯滨惭础ダイジェスト > October 2016:幸せの建築術

碍础闯滨惭础ダイジェスト

幸せの建築術 人類の叡智を再考する 第10回 マレーシア?ボルネオ岛 集まって暮らす100尘のロングハウス

写真:ロングハウスの外観

ロングハウスの外観。入口の阶段は外敌の侵入を防ぐため,取り外せるようになっている

改ページ

イバン族に兴味をもつ

1980年代初头,私が丹下事务所の仕事でブルネイのバンダルスリブガワンに滞在していたとき,ボルネオ岛北部に住むイバン族の话を地元の人から何度か耳にした。かつて首狩りの风习があったという。さらに彼らの住居は,ロングハウスと呼ばれる长い1栋の集合住宅と闻き,建筑的にも兴味をもった。彼らが実际にどのような暮らしをしているのか,そのロングハウスをひと目见たい。もしかすると危険を伴うかもしれないが,なぜか私は,イバン族に対してそれほど恐怖を感じなかった。

地図

そこで,现地の日本大使馆の人に相谈してみたところ,真っ青になって「危険だ。やめなさい」と止められた。実际,その风习が残っていたのは20世纪初头までだそうだが,やはりいざ行くとなると尻込みしてしまう人が多いのだ。しかし,そうなるとますます兴味が涌いてくる。

バンダルスリブガワンを船で出発し,ボルネオ岛北部,东マレーシアのサラワク州ミリの港に向かった。そこから车でさらに4~5时间走らなければならないが,タクシーがなかなか见つからない。しかし,运良くイバン族が运転手のタクシーがつかまった。

延々と続くリビング

オンボロのタクシーは山へ入っていく。道はもちろん舗装されておらず,走行は困难を极めた。ときに道なき道を走り続け,やっと何栋かのロングハウスが见えてきた。木造,平屋の高床式で,名前のとおり,长いものは100尘にもおよぶ细长い形の集住体である。里侧に回ると斜面に建てられていることがわかった。

タクシー运転手がひとつのロングハウスと交渉してくれて,建物から长老らしい,いかにもイバン族と思われる全身入れ墨だらけの老人が出てきた。めでたく住居の中に入れることになり,私は长老のあとに付いていった。

ロングハウスの平面は极めて明快だ。切妻屋根の片侧に多くの个人の住戸がほぼ均等の间口で并び,これがいわゆるプライベートゾーンになっている。そしてもう片侧が,延々と続く共有のリビング「ルアイ」である。集住体と言っても,ルアイでの生活のみが共同で,各戸の生活はそれぞれ単独に行われている。

个人の住戸へは全てルアイから入る。扉を开けるとすぐに台所がある。台所の奥の空间が寝室で,その先はさらに増筑され奥へ奥へと広がっているが,増筑の仕方は各住戸の家族数や豊かさによって异なるようだ。

写真:ルアイ

细长く続くルアイ

改ページ

写真:ルアイでくつろぐ家族

ルアイでくつろぐ家族の轮に入れてもらう

図版:断面図

断面図。切妻屋根の片侧がルアイ,もう片侧が住居で,その先に増筑部分が続く

図版:平面図

平面図。住居の増筑の仕方は家族数や豊かさによって异なる

快适なルアイの仕组み

ルアイでは,所々にさまざまなグループが座って休憩していた。中には昼寝をしている者もいる。食事は各戸の部屋で取っているようで,ここでは酒やお茶を饮みながら话をしている。长老は自分の家族の轮に私を迎え入れ,ちょっと汚れているようにも见える容器に入った酒をすすめた。一瞬ためらったが,イバン族は侮辱されることを最大の耻と考えると闻いていたので,その得体の知れない强い酒を一気に饮み干した。ふと见上げると天井にオブジェのように髑髏(ドクロ)が饰られていて一瞬背筋が冻りついた。しかし饮みぶりが豪快に见えたのか,人々の态度はすっかり和み,歓迎の踊りを披露してくれた。

ルアイは快适な空间である。よく见ると板张りの床に隙间が设けられていて,下から凉しい空気が入り込む。やがてそこから烟が入ってきて,瞬く间にロングハウス中に雾が立ち込めたようになり,视界がきかなくなった。

床下のピロティでは,まだ青い叶の付いた木の枝が焚かれているのである。热帯地域ではマラリアは大敌だ。マラリア蚊を駆除するため1日数回,定期的に烟を室内に取り入れるそうだ。この烟は天井里にも回り,热帯雨林地帯で湿気を含んだ屋根里を乾燥させる役割も果たすのである。

写真:ロングハウスの裏側

ロングハウスの里侧は,各戸ごとに増筑が施されている。突き出したバルコニーの広さもまちまち

改ページ

写真:高床の下の空間

高床の下の空间。ここで草を焼き,蚊を駆除するための烟を起こす

写真:新しいロングハウス

新しいロングハウスでは高床下を仓库や车库として使っている

プライバシーのバランス

なぜこのように何十世帯もの人々が,1轩の长屋に住むことになったのであろうか。もともとは外敌から身を守るためだったという。高床になっていることも,斜面に建っていることも,それを里付けている。その昔この部族の男子は,他部族の男の首を取ってこないと一人前の成人男子と见なされなかったらしい。そのためロングハウスには大きな鎌があり,月の出ていない夜に,若い男たちは首を狩りに出かけたそうである。他部族からは当然リベンジを受けることになる。そこで,多くの家族が身を寄せ合い,互いに守り合いながら集まって住むための住居がつくり出されていった。彼らは団结を第一として,ロングハウスの中で长老の指导の下,さまざまなルールをつくって暮らしている。

现代社会では核家族化が进み,プライバシーが尊重され,近隣とのつながりも敬远されてきた。わが国でも昨今その弊害が顕着にあらわれ,独居老人の孤独死などが社会问题になっている。一方では,シェアハウスなど,集まって住むことを再考しようという动きも出てきている。ロングハウスのプライベート空间と共有空间の絶妙なバランス。ここには集まって住むことのヒントが示されているのではないだろうか。

写真:新しくつくられたロングハウス

新しくつくられたロングハウス

别れ际に,长老から「次に来るときも,必ず俺のところに来い」と言われ,その言叶どおり,兴味をもった同僚を连れて数年后に长老を访ねた。彼は约束どおり歓迎してくれ,再度酒を酌み交わした。首狩りの风习が无くなった现在も,彼らは集まって住み続け,新たなロングハウスがつくられている。

改ページ

古市流 地球の歩きかた

マレーシア国旗
(惭补濒补测蝉颈补)

面积:33万办尘2(日本の约9割)
人口:2,995万人
首都:クアラルンプール
国土は,マレー半岛とボルネオ岛の一部
(サバ州,サラワク州)から成る。

すすめられたヤシ酒

ロングハウスの长老にすすめられた酒は,ヤシ酒だと言われた。パームワインとも呼ばれ,世界中のヤシ生息域で広く饮まれている。ヤシの树液が原料で,溜めておけばすぐに発酵するため简単につくることができる。このとき饮んだ酒は白く浊っていて,かなり强く感じた。ほんのり甘かったような気もするが,紧张していたせいか,あまり覚えていない。

写真:宴で披露された歓迎の踊り

宴で披露された歓迎の踊り

マラリアの恐怖

元気なときにはなかなか感染しないが,身体が弱っているときなどは要注意。マラリアに感染した蚊に刺されることで発症する。私もアフリカ滞在时に3回ほどかかったことがあり,高热にうなされ大変な思いをした。早期に治疗すれば治癒することが多い。アフリカで同僚が彻夜明けの早朝に発症し,震えが止まらなくなり大騒ぎになった。すぐに薬を饮み半日ほど意识を失うほど寝込んだが,目が覚めたらすっかり良くなり,いきなりテニスをやり始めたのにはびっくりした。

ロングハウスにホームステイ!

现在は,いくつかの旅行会社がロングハウスツアーを企画している。イバン族と一绪に川鱼や山菜をとり,现地の料理を味わい,私が体験したような酒や民族舞踊でもてなしてくれるそうだ。中には宿泊客用のゲストハウスをもつロングハウスもあるらしい。実际のイバン族の暮らしを体験できるツアーである。また,ロングハウスをイメージした高级リゾートホテルも建てられていて,スタッフの半分はイバン族の人たちだそうだ。

古市彻雄(ふるいち?てつお)
建築家,都市計画家,元千葉工業大学教授。1948年生まれ。早稲田大学大学院修了後,丹下健三?都市?建築設計研究所に11年勤務。ナイジェリア新首都計画をはじめ,多くの海外作品や東京都庁舎を担当。1988年古市彻雄都市建築研究所設立後,公共建築を中心に設計活動を展開。2001~13年千葉工業大学教授を務め,ブータン,シリア調査などを行う。著書に『風?光?水?地?神のデザイン―世界の風土に叡知を求めて』(彰国社,2004年)『世界遺産の建築を見よう』(岩波ジュニア新書,2007年)ほか。

ホーム > 碍础闯滨惭础ダイジェスト > October 2016:幸せの建築術

ページのトップへ戻る

ページの先頭へ