
「この(给水タンク)1杯の水がひとつの村の1年间の生活を支えます」。アフリカへの给水设备の设置を呼び掛ける国际赤十字の広告
笔者がランドスケープデザインを学ぶ学生だったころ,ランドスケープアドバタイジング(景観広告)について考えた时期があった。「颜に见える家」や「箱みたいなビル」があるんだから,建物に少し手を加えて都市景観を広告化すればインパクトがあるんじゃないか,と考えたのである。「これはすばらしいアイデアだ!」と思って调べてみると,すでにデザイナーのナガオカケンメイが烟の出る烟突をタバコに见立てたり,丸いガスタンクに小さなシールを贴って卵に见立てたりする広告をたくさん提案していた。
韩国出身のアートディレクター,ジェスキはそれをさらに社会的な课题を认知させるために使った。たとえば,ニューヨークの地下街から地上へ上がる阶段にエベレストの写真を贴り付け,「人によってはこの阶段がエベレストのようにも感じられる」というフレーズを付け加える。身体が不自由な人のためにエレベータやエスカレータの设置を呼びかけるアメリカ障がい者协会の広告である。あるいは,ビルの屋上に设置された给水タンクの下にアフリカのこどもの姿を组み合わせた写真によって,この水瓶があれば,ひとつの村に住む人たちが1年间水を饮むことができるというメッセージを掲示する。国际赤十字による公共広告だ。
都市景観を利用して社会的な課題を多くの人に認知させるこの発想は,ベネトンの広告を社会的なものに変えたオリビエーロ?トスカーニのものに近い。人種差別問題,エイズ問題,环境問題など,多くの人に知らせて新たな行動を喚起したい問題をわかりやすく広告に表現する。人々が目にする広告を何のために使うのかという問いに対するベネトンの姿勢を,強烈に示した事例といえよう。ジェスキの公共広告は,ナガオカとトスカーニの発想を組み合わせたような特徴を持っている。
ジェスキは広告デザインを学ぶために渡米し,ニューヨークの大学を出た后に広告代理店で働いていた。独立した当初の仕事はほとんどが商业的な広告だった。そのころから,彼のデザインは都市空间を积极的に活用する特徴を持っていた。ここで绍介した広告のアイデアは商业的な広告をデザインしていたころと基本的に同様の発想である。

「人によってはこの阶段がエベレストのようにも感じられる」。地下街の阶段に记されたのは,エレベータ设置を呼びかけるアメリカ障がい者协会のメッセージ
イラク戦争に反対するポスターのデザインでは,ライフルをかまえて敌を狙う兵士の写真を丸い柱に巻きつけ,銃口が自分の后头部に突きつけられていることを示した。同じく,手榴弾を投げた兵士のポスターは自分の后ろに手榴弾が飞んできていることになり,ミサイルを発射した戦闘机は背后からミサイルが追いかけてくることになる。谁かを攻撃することは,回り回って自分が攻撃されることになるということを,丸い柱を使って表现している。ほかにも,飞び出した水がちょうどアフリカに当たるように世界地図をプリントしたウォータークーラーや,地球温暖化による海水位の上昇を表现した窓のプリントなど,多くの人が目にする场所に社会的な课题を明示するような公共広告をジェスキはたくさん提案している。
普段から目にしているまちの风景に少し别の要素が加わり,そこに効果的なメッセージが込められると,见惯れた风景だからこそ大きなインパクトを持ち得る。ジェスキの公共広告はそのことを感じさせるものだ。
こうしたインパクトを生み出すために,ジェスキは都市空间の特徴を深く読み取る。伝えたいメッセージとその表现,そして都市空间の形态や风景の构造。それらを読み取って,デザインに统合する。イラク戦争反対のポスターは,6ヵ月间考え続けたデザインだという。

「What goes around comes around(自分の行いはいずれ自分に返ってくる)」と記されたイラク戦争反対を呼びかけるポスター。円柱に貼ることで「他者への攻撃が自分への攻撃にもつながる」というメッセージが視覚的に表現される

受け皿に世界地図がプリントされたウォータークーラーは,ボタンを押すとちょうどアフリカの位置に水が落ちるようにデザインされている。アフリカへの给水设备の设置を呼びかけるしかけ

ビルのシルエットと水面がプリントされたカフェの窓。窓を开けようとスライドすると,ビルが水面に沉むようなグラフィックになっている。地球温暖化に警鐘を鸣らすイメージ広告
都市空间に登场するこれらの広告は,そのインパクトゆえに多くの人の目を引くだけでなく,携帯电话などによって撮影され,さらに多くの人たちに伝えられる。ブログや动画投稿サイトなどにアップロードされる。こうして,その场にいない人にも伝えたい情报が広がっていくことになる。
ジェスキの景観広告が注目を集めるのは,そこでしか発せられないメッセージでありながら,谁かに知らせたくなる魅力も兼ね备えているからではないだろうか。

歩道に敷かれたグラフィックは,くず入れの利用を呼び掛けるポイ捨て防止のメッセージ広告
山崎 亮 やまざき?りょう
ランドスケープ?デザイナー。蝉迟耻诲颈辞-尝代表。京都造形芸术大学教授。1973年生まれ。
Architecture for Humanity Tokyo / Kyoto設立準備会に参画し,復興のデザインの研究を行う。
着书に『コミュニティデザイン』(学芸出版社),『震灾のためにデザインは何が可能か』(狈罢罢出版)など。
Architecture for Humanityはサンフランシスコを拠点に世界各地で復興や自立支援の建設活動を主導する非営利団体。
参考资料
- ナガオカケンメイ着『ブラボー!すきまな広告』(リブロポート,1997年)
- オリビエーロ?トスカーニ着,冈元麻理恵訳『広告は私たちに微笑みかける死体』(纪伊国屋书店,1997年)
- 「特集=広告デザイン2009」『笔别苍』(2009年3月1日号,阪急コミュニケーションズ)
- 闯别蝉办颈ウェブサイト
参考鲍搁尝
写真提供: © Jeski Social Campaign



