「麦わらでつくった家」と闻けば,『3匹の子ぶた』で最初に狼に吹き飞ばされた弱々しい家を想像するかもしれない。ところが,「ストローベイルハウス」と呼ばれる麦わら住宅はとても顽丈だ。「ストローベイル」とは乾燥させた麦わらを四角く圧缩したブロックのこと。これをレゴのように积み上げてつくる。断热性能もかなり高い。
饮み物を吸うストローはもともと「麦わら」を指す。ストローハットといえば麦わら帽子のことだ。麦わらは稲わらと违って断面が中空になっている。その昔,空気层を含む麦わらでつくった帽子が,头部を热射から守ることに気づいた人がいたわけだ。
それと同じように,住宅の壁に麦わらをすき込む方法は1,000年以上前から世界中で见られる。さらに,その麦わらを保管用に四角く固めたブロックを使えば,より断热効果の高い住宅が実现できる。麦わらのブロックだけを积み上げて壁をつくる,「ストローベイルハウス」がアメリカで诞生したのは约100年前。燃えやすい麦わらも,表面を漆喰で覆えば耐火性が担保される。


ストローベイルハウスは,多くの人が協力しあって建てられる。地域住民は家づくりのノウハウを学び,ボランティアは彼らとの協働を通じてネイティブ?アメリカンの歴史や生活の理解を深める(上下とも ? Michael Rosenberg)
「ストローベイルハウス」を地域の住民と一绪に组み立てることでコミュニティの力をさらに高められると気づいたのがナサニエル?コラムである。自らの地域に必要な建筑物を,麦わらや木材や漆喰など地域にある素材を使って,地域に住む人たちがつくりあげる。
アメリカ国内に住むネイティブ?アメリカンの暮らしを改善したいと考えていたコラムは,スポーツメーカーの協賛を得て各地にネイティブ?アメリカンとともに麦わら住宅をつくっている。かつてインディアンと呼ばれた彼らのうち,約35万人が現在,家を持たないか貧しい家で生活しており,その半数は子どもである。ひとつのベッドルームで8人が寝ている家もあるという。政府が指定した地域に住めば少ないながらも補助金が手に入るので,自立しようとせずに劣悪な住宅で暮らし続ける者も多い。こうした人たちと力を合わせて麦わら住宅をつくることで,居住环境を改善するだけでなく,コミュニティの力を高め,自立した生活を促すのがコラムのプロジェクトである。


麦わらや木材,漆喰など,素材は地域で调达できるのが特徴。圧缩した麦わらを积み上げるシンプルな工法だが,丈夫で快适な住まいになる(左= ? Harry Connolly, 右= ? Nathaniel Corum)
その建设プロセスは明快だ。まずは住宅の土台となる基础をつくる。次にレゴを组み立てるように麦わらブロックを积み重ねて壁をつくる。各ブロックを安定させるためには麦わらをしっかり圧缩させる必要がある。これには农场や牧场で使われてきたベイル机を活用する。壁には漆喰を涂って麦わらを隠す。最后に屋根をかけて完成である。
建设用の敷地は,地域における水の流れや植生パターンなどを分析して决める。住宅の基础には,石炭精製の副产物であるフライアッシュセメントを使うことで,ポルトランドセメントの使用量を削减している。壁には,农业の副产物である麦わらと漆喰を使っており,人体に无害であるばかりでなく,断热性能に优れており,住宅の寿命も长い。そのほか,とうもろこしの皮でつくったカーペットやひまわりの种の殻を圧缩してつくったパーティションなども多用しており,コラムはこうした农业副产物を使った建筑のことを「アグリテクチャー(补驳谤颈-迟别肠迟耻谤别)」と呼んでいる。
できるだけ少ない财源で多くの住宅をつくるため,ボランティアと地域住民とが协力して作业する。基础づくりから屋根を架けるまでは约3週间。デザインから施工まで地域住民がかかわるため,住宅づくりに関するノウハウやスキルがコミュニティに伝授される。また,作业中にボランティアが地元の料理や踊りなどを学ぶことでネイティブ?アメリカンに対する理解が深まる。




ストローベイルハウスの建设は安価でありながら,农业副产物の再利用やバリアフリー,雨水贮留といったさまざまな技术が用いられている。専门家の関与は最低限にとどめ,コミュニティが独自に建设できるよう配虑するのもプロジェクトのミッション
(5点とも ? Skip Baumhower)
2005年につくったホピ族の住宅は,ふたつのベッドルームを持つ家を350万円で仕上げた。同じ年にタートルマウンテン地域でモデル住宅を建设した际には,自然エネルギー利用や雨水贮留,バリアフリー,农业副产物利用など,さまざまな技术がコミュニティに移植された。翌年にナバホ族の住宅の建设作业ではほかの部族との协働がみられ,コミュニティ间のネットワークを构筑することに寄与した。いずれも1,000人を超える人たちが住宅を必要としている地域である。
コラムは,こうした地域に入り,対话や共同作业を通して住民との信頼関係を筑き,コミュニティの人びとと一绪に3週间でモデルとなる「麦わら住宅」を建てる。専门家の関与は常に最小限とし,モデルが完成した后は,力をつけたコミュニティが自分たちで住宅を増やし続けられるよう配虑している。
材料はその土地にある。人もその土地にいる。コラムが提供しているのは,「麦わら住宅をつくる技术」と「人びとが结束するきっかけ」だけなのだろう。

基础づくりから屋根を架けるまで,建设期间はわずか3週间ほど。短い期间で家づくりのノウハウをコミュニティに伝授する
(? Michael Rosenberg)
山崎 亮 やまざき?りょう
ランドスケープ?デザイナー。蝉迟耻诲颈辞-尝代表。京都造形芸术大学教授。1973年生まれ。
Architecture for Humanity Tokyo / Kyoto設立準備会に参画し,復興のデザインの研究を行う。
着书に『コミュニティデザイン』(学芸出版社),『震灾のためにデザインは何が可能か』(狈罢罢出版)など。
Architecture for Humanityはサンフランシスコを拠点に世界各地で復興や自立支援の建設活動を主導する非営利団体。
参考资料
- Nathaniel Corum, Building a Straw Bale House:
The Red Feather Construction Handbook, Princeton Architectural Press, 2005. - Architecture for Humanity, Design Like You Give a Damn:
Architectural Responses to Humanitarian Crises, Thames & Hudson, Ltd., 2006.
参考鲍搁尝
- ナサニエル?コラム ウェブサイト
- オープン?アーキテクチャー?ネットワーク ウェブサイト
- レッド?フェザー?ディベロプメント?グループ ウェブサイト



